百日紅 サルスベリ さるすべり のお話


















百日紅がサルスベリである理由
■中国南部原産のミソハギ科・落葉小高木で、日本には江戸時代に渡来しました。キョウチクトウ(夾竹桃)と共に夏を代表するような花です。 夏から秋にかけて、ちぢれた花びらをもつピンク、白、紫色などの花が咲きます。中国では、約百日近くも花を咲きつづかせることから、 「百日紅(ひゃくじつこう)」。実際には、一度咲いた枝先から再度芽が出てきて花をつけるため、咲き続けているように見えます。
■幹の成長に伴って古い樹皮のコルク層が剥がれ落ち、新しいすべすべした感触の樹皮が表面に現れます。このつるつるした感触から、 猿も滑るという意味で「サルスベリ」。「猿滑」と表記する場合もあります。また、樹皮の更新様式や感触の似たナツツバキやリョウブを サルスベリと呼ぶ地方もあるようです。英語名Crape myrtleはミルテの花に似て花弁が縮れていることから。 中国では紫微(宮廷)によく植えられたため紫薇とも呼ばれます。
■学名のLagerstroemia indicaはLagerstroemia(サルスベリ属) indica(インドの)。 Lagerstroemia(ラジェルストレミア)は 18世紀のスウェーデンの植物学者リンネの友人「Lagerstroum さん」にちなみます。

界: 植物界 Plantae
門: 被子植物門 Magnoliophyta
綱: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
亜綱: バラ亜綱 Rosidae
目: フトモモ目 Myrtales
科: ミソハギ科 Lythraceae
属: サルスベリ属 Lagerstroemia
種: サルスベリ L. indica

サルスベリのこんな特徴
■ 南方系の植物であるためか、春の芽だしは遅く、新しくのびた枝の先に円錐形の花をつけます。一つの花を手に取ってみると、 花弁は6〜7枚で中心に多数の雄しべがあり、そのうち外側の6個は長く雌しべは中心に1本。葉は、通常、2対互生(コクサギ型葉序)、 対生になることもあります。
■ 果実は丸く、種子には翼があります。
■ 同属は熱帯・亜熱帯に分布し、日本では南西諸島にシマサルスベリL. subcostata、ヤクシマサルスベリL. faurieiが自生。 東南アジア原産のオオバナサルスベリ(バナバ)L. speciosaは観賞用に栽培するほか、葉を「バナバ茶」として飲用に用います。
百日紅の文学世界
■江戸時代を描いた天才漫画家・杉浦日向子の代表作「百日紅」(ちくま文庫)
文化11年(1814年)・江戸。浮世絵師・葛飾北斎と、娘で自身も優れた浮世絵師だったお栄、北斎門下の弟子で居候している池田善次郎。 この三人の身の回りに起こる不思議な出来事や怪異が描かれています。一話完結型で上下巻があります。
・上巻――「番町の生首(上)(下)」「ほうき」「恋」「木瓜」「龍」「豊国と北斎」「鉄蔵」「女弟子」「鬼」「人斬り」「四万六千日」 「矢返し」「再会」「波の女」「春浅し」
・下巻――「火焔」「女罰」「酔」「色情」「離魂病」「愛玩」「綿虫」「美女」「因果娘」「心中屋」「仙女」「稲妻」「野分」「夜長」「山童」

■「百日紅 ややちりがての 小野寺」与謝蕪村
「さるすべり 寺中おほかた 見えにけり」炭太祇
「散れば咲き 散れば咲きして 百日紅」加賀千代女
「炎天の 地上花あり 百日紅」高浜虚子

百日紅の育て方
■置く場所: 戸外では日当たりの良い場所に植えます。鉢植えの場合は、風通しの良い明るい場所に。
■温度: 越冬温度0℃以上。寒さには弱く、東北南部以西までなら戸外で越冬生育可能。
■水: 水切れに注意。土の表面が乾いたら、たっぷり与えます。水切れすると、樹木自体は枯れませんが、葉先が枯れやすくなります。
■肥料: 1〜2月頃、堆肥・油粕等を与えます。液体肥料も。
■剪定: 剪定には強いのが特徴。寒い地域は2〜3月頃が適期ですが、暖かい地域なら、11月〜12月頃でも。
■病虫害: 春〜夏頃に「うどんこ病」が発生することがありますのでカラセン水和剤を、カイガラムシには、マシン油などを施します。


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